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Tom from GHF'03

自己実現と社会貢献のための「学び」の追求 (Revised ver.)


 現在、日本は激しい国際競争社会の中に置かれ、教師がいかに生徒に「学び」を提供するかということが叫ばれている。私は、現在の日本の社会的背景とそれに伴う学校教育の特質を踏まえ、生徒が学校生活を通して「自己実現の支援と社会貢献の態度育成」を目指して「学ぶ」ための知識・技術を「学ぶ」ことが重要であると考える。

 従来、日本の教育制度の中心となっていたのは、偏差値至上主義による詰め込み教育であり、受験勉強が生徒の「学び」の動機付けとして有効な手段であった。しかし、そうした風潮に懸念が示され、その流れを引き継いだ新学習指導要領では、「課題を解決するために必要な思考力,判断力,表現力その他の能力をはぐくむ」育成が図られるようになった。さらに、生徒数が減少して大学全入時代が訪れたことで、生徒は、さほどの努力をしなくても高等教育に進めると信じるようになった。

 このような大学入試や制度の変化における社会的文脈の変化は、私が指導した高校生の「学び」の姿勢にも大きく影響しているように見えた。概して、成績分布において、下位の生徒は、高校入試を経て勉強に対する嫌悪感が大きいように見えた。また、中位では、宿題や小テストを課しても家庭学習の時間はなかなか増加しない。つまり、「学び」の対象に対する興味・関心が低いのである。一方、上位層は、進学に向けた学習をするが、あくまで「受験勉強」という範疇からは抜けていないため、能動的・探求的な「学び」とはほど遠い状況にある。よって、生徒が学びたいと思うのに十分な興味・関心を高め自己実現を図ることが第一の課題であると考える。

 ところで、私たちは、高度な情報技術に支えられた脱物質主義・消費社会の中を生きている。そのため、物に対する依存が高く、人とのアクチュアルな関わりを軽視できるようになり、その結果、コミュニケーションそのものが形骸化してしまった。同時に、費用対効果を重視した画一的な大量生産体制は、過度のマニュアル化と人の無機的な繋がりを作り出した。そのため、教育の現場では、子どもは「俺様化」し、「モンスターペアレンツ」が社会問題となっている。

 私は、次の様な経験をした。文化祭準備の話合いの時間を設けた際、多くの生徒がクラスのために貢献することに関して過度に無気力であったため、物事がなかなか決まらないことがあった。また、テニス部の顧問をした当初、生徒は私に練習の方法・時間の設定等あらゆることを教師に求めた。これらの例にあげた過度の依存の原因は、生徒が生活及び所属する領域のために、自主的により良い方法を考え出そうとする応用力が欠けているということである。つまり、生徒は、知識を受動的に吸収する傾向が強く、自己の知識・技術をいかに活用して他者に貢献すれば良いのかを知らないのである。よって、第二の課題は社会に貢献するために、主体的に「学ぶ」方法を育成することであると考える。

そこで、私は、生徒の自己実現及び社会貢献の姿勢育成のために、教科指導、道徳指導、生徒指導において、以下の様な取り組みを目指したい。

1 生徒の学習に対する興味・関心を高める授業を実践し「学ぶ」力を育てる

まず、生徒が学習内容を確実に身に付けさせるために、生徒の実態に応じ、様々な教授法を用いていく。授業の主体の中心が教師の説明を中心とした知識の教授であるか、または、生徒の活動を中心にしたペア活動やグループ活動かを指導箇所によって考えていく。また、生徒の学習状況に合わせて個々が効率良く学習ができるように、個別指導において、習熟度別の問題演習の教材を準備し、机間指導で生徒の疑問に対応したり、生徒の学習状況を把握したりする。また、教材も、地域の文化財や、生徒の作品を教材化し、生徒が教材をより身近なものに感じるようにさせる。さらに、ICTを用いた授業展開をする。プロジェクターによって黒板に投影された内容が教材と連動し、同時に、動画や音声を効果的に組み込む。また、学校図書館に場所を移し、題材に関する適切な資料を集めさせてまとめさせる。パソコン教室では、生徒が実際に海外の生徒とメールのやりとりをさせ、英語を通してコミュニケーションの在り方や楽しさを実感させる。これらの学習活動を通して、自分らしい「学ぶ」方法を見出し、自己実現の達成の基礎を確立させる。

2 生徒指導や道徳指導の中で、社会貢献のために自ら「学ぶ」態度・姿勢を育成する

生徒が社会貢献をするということは、生活の中心である学校生活で極めて貴重な構成員として自他のために活動することである。そこで、私は、今までの経験から、生徒が規則の意義を理解させる。そのためには、一方的に管理主義的な抑え込みをするのではなく、規則の持つ意味から自己の社会貢献の在り方までを考えさせる機会を提供し、生徒自身で答えを見つけ出させる。そして、今後の積極的生徒指導において、生徒が主体的に望ましい行動を考え改善する力を育てる契機とする。

 また、社会貢献の活動の中で自ら「学ぶ」ことを経験から学ばせる。学級の時間及びホームルームや部活動・生徒活動の一環として、近くの老人ホームに出向いて演劇を行う。事前指導では、予め役割を提示して分担するのではなく、実際に何をどのように進めるかを生徒自身に考えさせ、生徒がお互いの意見を尊重しながら妥協案や発展したアイディアがでるように援助していく。活動当日には、相手が高齢者であることを踏まえて、相手を配慮し、尊敬や感謝の気持ちを持って接するように指導し、生徒と共に成功の喜びを分かち合い。事後指導としては、活動を振り返って改善策や今後生徒が社会貢献として何ができるかを考え、家庭・地域に活動報告を発信していく。

 生徒の自己実現と支援と社会貢献の態度・姿勢の育成は、学校教育における重要な課題の一つである。同時に、その達成こそが私の理想とする教師像でもあり、教師の持つべき使命感である。そのためにも、私は、生徒が「学ぶ」ためにいかに学べば良いかを気付かせられる存在でありたい。

参考文献:新学習指導要領 高等学校 第1款 教育課程の一般方針

裏C 、(2011) GHF'03「誰かが一言」


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