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Tom

英検受験で学校改革

 大阪府にある興國高等学校の教育実践が興味深い。私立学校では生き残りのために様々な戦略を練るが、進学校でも共学化でもなく、「オンリーワン教育」を掲げて成果を出すと決意した。「国際化」「ITビジネス」等多くの改革に乗り出しだたことで、一時は少子化の影響等で存続の危機を迎えた男子校が人気校に変貌を遂げたのだ。その中で興味深かったのが英検の全員受験である。

 導入当時の生徒の中には5級でさえも合格させることが難しい状況であったという。もちろん先生方は困惑し、その後多大な苦労をされたことは容易に想像できる。それでも英検の受験が学習習慣を付け、結果的に学校全体が個々の目標級に向かって努力する雰囲気が醸成されたというのだから驚きだ。「英検をはじめととする資格試験で生徒が一生懸命勉強して努力した証を残し、成長を褒めてあげたい」というのが同校理事長・校長草島葉子の理念であった。

 英検を大学入試の基礎力完成と位置付ける手法は私と同じだ。英検の問題のクオリティーは非常に高く、徹底的に使いたいすのに最適の教材である。英検のサイトには過去3回分の問題が音声とスクリプト、さらには解答にもアクセスできる。また、レベル別に7つの級に分かれているので、長・中期的な目標を掲げるにも最適だ。獲得した級が大学入試や就職試験などでアピールとなるのも大きい。

 英検1級に合格しても世界、言い換えれば自分の環境が大きく変化したわけではない。ただ、世界の見方が変わったのだと思う。つまり、努力が公的に認められることはが大きな自信につながっているのだ。「心が動けば、あとは自ずと努力できるようになる」(同校長)生徒の自己肯定感に向け、組織的に目標を掲げて取り組み、一つの形にしたことは学校経営としての良きモデルである。



※参考文献

日本英語検定協会、(2019 11)、『英語情報 2019年 創刊号』

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